日程
2024年9月29日 – 10月20日
開催場所
イタリア:
プラート、カッラーラ、フィレンツェ
参加教員
デジレ・イビナリアガ (モナッシュ大学 デザイン学部 講師) 【豪】
イリヤ・フリードマン (モナッシュ大学 デザイン学科副学科長 講師)【豪】
テリー・バード (モナッシュ大学アート・デザイン&アーキテクチャ学部 彫刻・ガラス 准教授)【豪】
宮内芽依 (東京藝術大学 グローバルサポートセンター 特任助手)
本プログラムは、イタリアのプラート(Prato)を拠点として実施され、カッラーラ(Carrara)およびフィレンツェ(Firenze)へのフィールドワークを通じて、地域の産業と文化の形成を素材の視点から探究しました。
現地調査と学際的協働を通じて、「場所」・「資源と素材」・「人・文化・知識」の3つのテーマを軸に、産業・芸術・社会の関係を学びました。
取り上げた2つのケーススタディは、1週目の繊維産業(Textile)と、2週目のカッラーラ大理石(Carrara Marble)です。
これらを通じて、地理や環境が生産やデザインに与える影響、素材の抽出やリサイクルの仕組み、人々の労働・技術・知識の継承がどのように産業を支えてきたかを考察しました。
学生は、歴史的な手仕事と現代のグローバル産業の関係を批判的に理解し、協働的なリサーチ手法や持続可能性への創造的な応答力を培いました。
最終的には、学際的な観点から素材文化を読み解き、自身のリサーチ成果を反映したクリエイティブなアウトプットを発表しました。
ケーススタディ①:繊維(プラート)
プラートは中世以来の羊毛生産の中心地であり、現在は約7,000社が存在し、ヨーロッパの繊維生産の約3%を占めています。
本ケースでは、ギルド制「アルテ・デッラ・ラーナ」から現代のグローバル繊維経済への変遷を学び、移民労働やリサイクル技術など社会的・経済的構造を分析しました。
特に19世紀に始まった再生ウール(regenerated wool)の技術を通じ、資源循環型産業としてのプラートの特性を理解しました。
また、Gucci、Louis Vuitton、Patagoniaなどの企業事例から、伝統と革新、技術と持続可能性の融合を考察しました。
ケーススタディ②:カッラーラ大理石(カッラーラ、フィレンツェ)
カッラーラでは、大理石の地質的形成過程(約2億年前)と、ローマ時代から続く採掘の歴史を学びました。
機械化による効率化と環境負荷の増大、廃棄物処理やNo Cav(採掘反対)運動など、文化遺産と持続可能性の両立課題を現地で検証しました。
フィレンツェでは、アカデミア美術館の《ダヴィデ像》やGucci Gardenを訪問し、素材が芸術・デザインへと転換される過程を体感的に理解しました。







