[Shared Campus Summer School + IUEP 2024 Prato] クリティカルエコロジーズとエクストラクティビズム 2024 ➤ プラート編

[Shared Campus Summer School + IUEP 2024 Prato]

クリティカルエコロジーズとエクストラクティビズム 2024  ➤  プラート編

 

渡邉 露子(油画、修士2年)
派遣期間:2024/9/29〜10/21

今回の3週間にわたる短期交流プログラムでは、その大部分がモナッシュ大学オーストラリアキャンパスの建築専攻の学生との共同学習でした。限られた時間内で「クリティカルエコロジーとエクストラクティビズム」というテーマを理解し、成果を出さなければならず、焦りは常にありました。これは私にとって、とても大きな試練でした。

プログラムの中で、私たちは大理石山の採掘現場や高級ウール工場を訪れ、採掘や製造業に従事している現地の方々の仕事を目の当たりにしました。その方々は日々の仕事に誇りを持ちながらも、エコロジーやエクストラクティビズムに対して深く考える必要はないように思われました。そうした視点を持つ姿に、私は新たな気づきを得ました。

特に大理石山を見学する時、作業員の方が自分たちの仕事に誇りを持って紹介する姿が印象的でした。人間の手によって掘られた大理石の山の中で、自分たちの声が石に響くのを聞きながら、私たちがどれほど小さな存在であるかということを実感しました。私たちが取り組む3週間というプロジェクトが短期間であるのと同様に、一人一人の命にも限りがあります。しかし、地元の人々によると、この大理石山は600年間採掘を続けることができるとのことです。私たちは今と近い未来のことは想像できますが、ずっと続く未来についてはあまり考えることができません。このように、私たちが地球を傷つけている行為を繰り返す理由は、目の前の即時的な問題に集中しており、長期的な影響に無関心であるからではないかと感じました。

 

最終週には、私たちのグループは地元で集めた材料を使って家具を制作しました。街の中の捨てられた木材でキャビネットを組み立て、地元の中古店で購入した布で装飾し、キャビネットの中に暖色系のライトを配置しました。これが私たちのインスタレーションとなりました。さらに、静かな映像作品も加え、完成したキャビネットを材料を集めた場所に運び、座標を貼って1分間のループ映像を制作しました。

当初、建築系とファインアート系のそれぞれの学生のアプローチが異なるため、調和なかなか難しいと感じました。また、「クリティカルエコロジーとエクストラクティビズム」というテーマ自体が非常に広範で、少し時間がかかりましたが、最終的には自分なりの視点でこのテーマに取り組むことができました。これにより、重要な問題に対する感受性が養われたと思います。

モナッシュ大学との交流を通じて、ファインアートにおける創作スタイルとは異なる、よりスピーディーで効率的な作業方法を学びました。最後の制作期間では、地元で調達した材料だけを使用することを選びました。この制約が逆に創造性を刺激し、満足のいく成果を得ることができました。この経験を通じて、アートレジデンスの働き方についても深く学ぶことができたと実感しています。